白目の表面と上下のまぶたの裏側を覆っている半透明な膜が結膜ですが、ここが赤く充血して炎症を起す病気を結膜炎といいます。 感染で起こる細菌性結膜炎とウイルス性結膜炎、アレルギーで起こるアレルギー性結膜炎などがあります。
膿のような目やにが多く出て、白目が充血します。
原因は瞼の周りや身の周りに存在する細菌で、黄色ぶどう球菌、表皮ぶどう球菌によるものや、淋菌やクラミジアなどの微生物による場合もあります。
抗生物質の点眼薬を使用します。長期間同じ薬を使っていると、薬が効きにくい細菌が出現することがありますので適切な点眼の使用を守ることが大切です。一般に濃密に接触しなければうつることはまれですが、高齢者や乳幼児がいるご家庭では注意が必要です。
アデノウイルス、エンテロウイルスなどのウイルス感染で起こり、さまざまな種類の結膜炎があります。特に、はやり目とよばれる流行性角結膜炎や急性出血性結膜炎は非常にうつりやすく、学校感染症に指定されており、感染した場合学校や仕事を休む必要があります。また、家族の方にも移らないようにタオルを別にしたり、ご家族自身が目を触らないようにしてよく手を洗うなどの配慮が必要です。
感染してから1〜2週間おくれて症状があらわれます。 突然、コロコロしたり、充血したり、まぶたの腫れ、涙や目やにが出ます。おくれて角膜に炎症が起こり、白斑が残ることがあり、目がかすむことがあります。
感染してから5〜6日で症状が出てきます。充血や目やになどの結膜炎の症状のほか、喉が赤くなり高熱が出たりします。プールなどで広まることの多いためプール熱とよばれます。
エンテロウイルス70の感染で起こります。感染してから1日で症状が出てきます。白目に出血をおこし、強い充血と目やにが出てきます。
ウイルスに有効な点眼薬はありませんが、免疫力がつくと治ります。炎症があると細菌の感染も起こしやすいため抗生物質点眼や、症状を抑えて角膜の炎症を引き起こすのを予防するために抗炎症点眼を使用します。多くは直るまでに1〜3週間かかります。角膜炎になると、数ヵ月にわたって角膜に白斑が残ることがありますので、十分に抗炎症治療を継続する必要があります。
アレルギーは、ある物質に対して過敏に体が反応して炎症を起こす免疫反応です。原因となる物質が結膜につくと、かゆみや充血をおこします。約20%の人にアレルギー性結膜炎があるといわれています。季節性と通年性があり、季節性の原因で多いのは、春に症状がでるスギ花粉です。夏から秋にかけてイネ科の植物などによるものもあります。 通年性の原因は、ハウスダストやダニ、また動物の毛などがあります。コンタクトレンズ装用者ではレンズの汚れが原因のこともあります。
●スギ花粉(時期:1〜5月)
●ヒノキ花粉(時期:3〜5月)
●カモガヤ花粉(時期:5〜7月)
●ブタクサ花粉(時期:8〜10月)
●ハウスダスト(チリ、ホコリ、ダニ、カビなど)(1年中)
●動物の毛(1年中)
●コンタクトレンズの汚れ(1年中)
かゆみをひきおこすヒスタミンを出しにくくさせる抗アレルギー点眼薬や、炎症を抑えるステロイド点眼薬を使用します。ステロイド薬は緑内障や白内障を誘発することがあるため注意をしながら使用します。アトピー性皮膚炎や春季カタルなどがあって重症の場合、瞼の裏の結膜細胞が乳頭状に増殖することででこぼこになって角膜が傷つくこともあり、免疫抑制剤の点眼を使うこともあります。 毎年決まった時期に発症する場合、症状が出る2週間ぐらい前から抗アレルギー点眼薬を使うことで症状が軽くすむことがありますので、毎年早めに受診していただくとより効果的です。